さて,MaTXはUNIX系OSやWindowsなど多くのプラットフォームで使用可能ですが,去年の秋頃から今どきのMacintosh (Intel CPU + Mac OS X) でも使えるようになっています.インストール時の注意点についてまとめておきます.
- gcc (Xcode) のインストール
コンパイラ(matc)を使うためにはgccが必要です(インタプリタしか使わないなら不要).
追記(1):どうやら,現状ではインタプリタしか使わない場合であってもgccが必要なようです.matxを起動する時にCプリプロセッサ(cpp)が呼ばれていることが原因のようです.下記に従ってXcodeをインストールする必要があります.
追記(2): インタプリタのみ使用する時は,matx を起動する際に,
matx -nocpp
のように,「-nocpp」オプションをつければXcodeがなくても大丈夫です.
Macに付属のインストールDVDにXcode Toolsが入っていれば,これをインストールすればOKです.ところが最近のMac(late 2010頃から?)には付属しなくなってしまいました.最新のXcode 4.xはAppleのDeveloperサイトにて配布されていますが,入手するためには年会費10,800円のMac Developer Programに加入するか,Apple Storeから600円で購入する必要があります.
一つ前のXcode 3.2であれば,こちらの一番下にある"Apple Developer"に無料で登録することによって入手可能です. - gnuplotのインストール
MaTXはグラフィクス機能をgnuplotに任せていますので,プロットなどを実行するにはgnuplotのインストールが必要です.Macの場合はMacPortsなどのパッケージ管理ソフトを利用して
とするのが簡単です.また,Snow leopard用の64bitバイナリもこちらで配布されています(自己責任でどうぞ).sudo port install gnuplot - MaTXのインストール
MaTXのサイトから,最新版の入手→Macintosh→Mac OS X (tar+gzip)とたどって,MaTX-x.y.z.tgz とMaTX-help.tgzをダウンロードします.それぞれ展開して適当な所に置けばOKです.私は /Applications の下に置いています.MaTXの起動プログラムは/Applications/MaTX/bin/matx です.Dockに登録する場合は,いったん "matx.app"にリネームしてからDockに放り込み,その後で"matx"に再度リネームします.前に述べた方法を使って,オリジナルアイコンを作るのもオツなものでしょう.下はPowerpoint上でCopper Blackフォントの"M"の字を使って作ったアイコンです.
- 環境変数の設定
起動プログラムへのパスと日本語の文字コードを設定するため,ホームディレクトリにある".bash_profile" に以下の行を加えます.
export PATH=$PATH:/Applications/MaTX/bin
export MATXDIR=/Applications/MaTX
export LANG=ja
export LESSCHARSET=utf-8
export PAGER=less
matcはプラットフォーム依存のバイナリを生成しますし,matx自身もプラットフォーム依存のバイナリです.しかしMaTXの発展形であるJamoxはすべてjavaで書かれていて,プラットフォームに依存しません.JamoxでもMaTXのプログラムコード(.mmファイル)を扱うことができますが,実は内部でmatjというモジュールを呼び出し,コードを一旦javaに変換してから実行しています.このmatjはJamoxから切り出して単体でも使うことができますので,mmファイルをjavaに変換し,Processingに貼付けて使うことで,Processingのお手軽なGUI能力とMaTXの強力な計算能力をリンクさせることが可能です.これらの連携については後日あらためて紹介したいと思います.